
親御さんが高齢者住宅に引っ越す、二世帯住宅で一緒に暮らす-。そんなライフスタイルの変化の折に浮上するのが、親御さんの家にある”モノ”をどうするかという問題。ご高齢の親御さんの家には、得てして”モノ”が溢れているものです。
親の家を整理する、物を捨てるという時には、物を捨てる、捨てないとうことで揉めるというケースが本当に多く見られます。今回はそんな親御さんの家の片付け、断捨離に困っている方に向けて、親の家をうまく片付ける術を提案していきたいと思います。
なぜ捨てられない?
捨てられない親と捨てたい子ども、このギャップがなぜ生じるのか、まずは少しだけ見ていくことにしましょう。「捨てられない」親御さんの感覚を知っておくことで、より適切なサポートの仕方ができるはずです。
世代間のギャップ
現在(令和2年)60〜90代の親世代の方が生きていたのは、高度経済成長期の時代です。この時代は、”モノ”の多さが豊かさの象徴でした。そのため、モノを捨てryことに比較的抵抗の強い世代だと言えます。
この世代間の価値観の違いが、一つの原因と言えるでしょう。
モノへの思い入れ
モノを捨てるとなった時に感じるのが、「まだ使うかもしれない。」「高かった。」という感情です。人に対しては「要らないんだから捨ててもいいだろう。」と簡単に考えられますが、捨てる側には、それをさせないモノへの思い入れがあるのです。
たとえ家族ぐるみの思い出の品でも、その家に保管していたモノを手放すのは親御さんなので、モノへの思い入れ、捨てることへの抵抗はより強く感じられることでしょう。
親御さんがモノをなかなか捨てたがらない態度の裏には、この様な心理的抵抗があるはずです。必要以上に揉め事が激しくならないよう、また必要以上に時間がかからないよう、手伝う側がこの捨てられない感情を理解しておくことが大事です。
片付けの心得
親の話をちゃんと聞く

断捨離の最中に親御さんが時には長々と話しかけてくることがあるでしょう。そんな時はないがしろにせず、きちんと話を聞いてあげることが大切です。
時間の無駄に感じられるかもしれませんが、この時間が親子納得のいく片付けをスムーズに進めるための秘訣です。この「話を聞く」ということはこの章の中でも一番大事な心得です。というのも、次からの項目に繋がるからです。
すぐに片付くと期待しない
いざ片付けを始めてみると、親御さんがなかなか「捨てる」という判断をしてくれなかったり、物量が想像以上に多かったり、先ほど言った親御さんの話が長かったりで、片付けというのはそれなりに時間がかかるものです。
ここで「早く終わらせないと」と焦ってしまってはいけません。「時間がかかって当然だ」という気構えでいなければイライラして親御さんにキツい言い方をしてしまったり、本当に必要なモノまで捨ててしまったりといった失敗に繋がります。
また、スケジュールに余裕がなければ当然片付けは終わらないでしょうし、気持ち的にも余裕がなくなります。離れて暮らしている親御さんの家に行って一緒に片付けをするという場合は、何日かスケジュールを確保しておくといいでしょう。
親の暮らしぶりを知る
モノを片付け、処分すること以前に、目的は親御さんにとって快適で安全な暮らしに近づけることです。そのためには親御さんの暮らしぶりを把握することもとても大切です。
親御さんの暮らしぶりを把握すれば、片付けの際に何が本当に必要なモノで、何が必要でないモノかも見えてきやすくなります。一緒に片付ける時の会話の中で聞き出してみましょう。
目標を話し合う
目標や目的が定まっていなければ、断捨離のモチベーションは確保できません。先ほど言ったように、親御さんはモノを捨てること自体に抵抗や喪失感を感じているかもしれません。
そんな場合は、「モノを整理すれば引っ越しがこんなに楽になる。」とか、「モノを減らせばこの部屋をこんな風に使える。」というような目標を一緒に立ててあげることが効果的です。
片付けの極意
モノを3つに分類する
まずは家の中のモノを
- 今の暮らしに必要なモノ
- 必要はないが捨てられないモノ
- 捨てられるモノ
の3つに分けてみましょう。
今の暮らしに必要なモノ
親御さんが現在実際に着ている服や、実際に使っているキッチン用具、その他常備薬やかかりつけ医の診察券これに当たります。
また、現在実際に使っている雑品のほか、いずれえ本当に必要になる重要書類などもこれに当たります。
- 土地の権利書
- 保険や証券の証書
- 年金手帳
- 住宅ローンや借金の証書
- 冠婚葬祭の正装
これらの重要書類や常備薬の所在は親子ともに把握しておくことによってもしももの事態にスムーズに対処することにも繋がるため、これを機会にお子さんもしっかり把握しておくと良いでしょう。
必要はないが捨てられないモノ
お子さんの思い出の品物や先祖伝来の品物、その他親御さんが「捨てたくない」と答えたモノは全てここに数えられます。
これらのモノは段ボールなどに梱包して何が入っているか明記した上で、定位置を決めて保管すると良いでしょう。(段ボールでなくても構いません。)
捨てられるモノ
親御さんがこれは捨てると判断したモノです。
ここに分類されるモノは期待より少ないかもしれません。しかし、「それでもいい」と考えることも大事です。少なくとも「捨てられる」とされたモノの分だけ物量は減りますし、この3つのカテゴリーに分類すること自体で部屋は断然整理されて過ごしやすくなるはずです。
作業が早く進む場所からスタート
家の中には、断捨離の作業が進めやすい場所と進めにくい場所があります。例えば、台所やリビングなど、親御さんが実際に生活している空間は、作業が進めやすいです。実際に生活している空間で、実際に使っているモノと使っていないモノを分類するのは簡単だからです。片付けはこの作業が進めやすい場所から始めるのがベターです。
逆に、物置や元子ども部屋などは作業が進めにくいです。モノが多すぎて作業自体がしんどかったり、思い出の品が多く出てきて感傷に浸ってしまったり話が弾んでしまったりして作業が思うようにいかない可能性があるからです。
このように作業が進めにくい場所は、その場の断捨離作業に慣れてからの方が望ましいですし、「作業が全く進んでいない!」という焦りを防止するためにも、後に回した方が良いでしょう。
ゴミ出し前日に作業日を設定
これはスケジュール次第で厳しいケースも多いと思うので「できれば」程度のことですが、親御さんのお住まい地域でのゴミ収集日の前日に作業日を設定できれば、スムーズにゴミ捨てまでを行えるためおすすめです。
せっかく断捨離してまとめたゴミは早く処分できた方が嬉しいですし、作業のモチベーションにもつながるのではないでしょうか。
便利サービスを活用
最後に、断捨離の前後に活用できる便利サービスを紹介していきます。
トランクルーム

トランクルームとは月々の料金で収納スペースをレンタルできるサービスで、アルバムや書籍・レコードなどの保管場所としてよく利用されています。
断捨離の結果、特に先に言った「必要はないが捨てられないモノ」に分類されたモノはこのトランクルームに保存するといいかもしれません。
片付けサポートサービス
片付けサポートとは、家に訪問してプロの視点からモノの整理・収納をアドバイスし、片付けをサポートしてくれるサービスです。
断捨離は手伝いたいけれど、自分自身も片付け、整理が得意じゃないという場合は、このサービスにサポートを依頼しておくと心強いかもしれません。
不要品回収業者

不要品回収業者とは、ゴミや要らなくなった家具、家電など何でも回収してくれる業者です。
断捨離では多くのゴミがでるはずです。出たゴミはなるべく早く処分してしまいたいですが、自治体での処分が面倒なモノや、自宅から運び出すのが大変な家具、あるいは多くの自治体で回収不可とされている洗濯機やパソコンなどの処分に困っってしまう場面があるかも知れません。そんな時は物量や種類を問わずゴミを回収してくれる不要品回収業者を利用してみるのもおすすめです。
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